ようやく? やっと? もう?
終わってしまいました。DramaJam。
感想をつらつらと。
物書きに必要なのは日常の中でどれだけ創作の種を見つけられるかってところだと思うんですけど、DramaJamってイベントに関していえばその部分がとても顕著に出ていたなって気がします。
「3日間で仕上げる」とはいうものの、脚本を書くためにはそれまでの人生経験全てが活用されるのは当然だし、執筆が実質1日とはいえ、それまでにどれだけ創作の種を見つけていて、活用できそうで、さらにより効果的なものを選んで、執筆にとりかかれるかってとこなんじゃないかなーとか。思います。
例を挙げれば森田さんの「短歌病」は森田さんが詩歌の人だからかけた話だし、とか、そういう部分。パーソナルな部分ですね。全くのゼロから書き始めるわけじゃないってことです。僕にしてもそう。
これで例えばお題が「書いたことのないジャンルで」とかになってたらもっと苦戦したでしょう。そういうのじゃなくてほんとよかった。
正直DramaJamに参加するって決めてから、そして主宰の森山さんから概要が送られてから、とか、いろんなタイミングで「あー、こういうのできそうだな」とか考えるわけです。取り掛かりはしないものの。
僕の中でもそれはもちろんあって、3パターンくらいのイメージはありました。その中から「これにしよう!」と決めたのが、今回書いた「タイムライン」でした。
当初書きたかった言葉はひとつだけ。
「ツイッターとは、一つの生命体だったのだ」
この一文です。
ほんとはこの言葉をオチにしたかったんですけど、役者とブレストする中で、ユーザーA役の織田さえこさんが(配役は五十音順で決めました)、「命って地球で最初に生まれた命からずっと引き継がれてきてるものだと思う」という言葉が出てきて、「あ、これは使える」と思いました。
そしてみんなに単細胞になってもらいました。
これは何人かにはお話ししたんですけど、DramaJam前身の「NobelJam」の出身じゃないのが僕だけだったんですね。
言ってしまえばみんな小説畑の人で、演劇の脚本を書いてる方もいらっしゃったんですけど、やっぱりみんな、そのNobelJamのテンションで来てると思ったんです。
小説って、本が完成形で、映像や舞台になることを想定されて書かれるものじゃないわけです。でも脚本は違って、舞台になることを前提としていて、お客さんの目の前でそれが実際にどうやって起きるかを常に意識して書けるかって、結構大事なとこだと思います。
僕は演出家ですし、脚本家ですし、役者ですし、作曲家なので、ちょっとズルいんですけど、音照によってどういう効果が得られるかとか、どんな音楽が流れるとお客さんがどう感じるかとか、どう喋るとどう聞こえるかとか、把握しながら書いたつもりでした。その点は、他の作家さんよりアドバンテージになった気がします。
「タイムライン」は朗読劇でありながら、端末をみんなが持って芝居をするという構成でした。
台本を持っていると、どうしても「それを読み上げている」という構図に見えるんですけど、端末を持たせることによって「今話した言葉がツイッターとしてタイムラインに流れている」という構図に見えるかなと。
ただ気を衒うだけなら簡単ですけど、今回DramaJamだからこそ、高い演出効果が出たんじゃないかと思います。
おかげさまで、「タイムライン」は朗読劇賞を戴きました。
ト書きに「この舞台は朗読劇ではない」と太字で傍点振って書いた舞台が朗読劇賞を戴いてしまって、なんだかやっぱり反則のような気がしましたけど……。いやそれでも、やったことが評価されたということで、ありがとうございました。
一緒に僕の作品を作り上げてくれた役者の皆さん、本当にありがとうございました。
正直台本もらった時は意味不明だったと思います。訳がわからなかったと思います。顔合わせの時に「僕の演出は厳しいです」とか言った馬原さんのチームになんて入りたくなかったと思います(?)。
欲を言えば、もう少し稽古時間があって、稽古の後に台本修正の時間が取れて、っていう状況であれば、もう少しブラッシュアップできたかもしれません。でも、この執筆時間、稽古時間だからこそ、あの一回きりの本番だったからこそ、あの演劇は、あそこに存在できた気がします。
また、僕の作品に出てください。888企劃は待ってます。
そしてご来場くださった皆様。
本当にありがとうございました。
「DramaJam」はいかがでしたか?
どんな内容の舞台になるのか、一切わからずに萬劇場に足を運ぶのは、さぞかし不安とワクワクがあったかと思います。楽しんでもらえていれば、幸いです。
さて、三人ヨシコに続いてDramaJamでも賞を戴いて、次の作品へのプレッシャーが日に日に増してきておりますが、今後も邁進して参りますので、どうぞよろしくお願いします。
本日の宣伝
演劇じゃないんですけど、合唱の本番があります。なんと名古屋です。地元です。
あいちトリエンナーレで名古屋に帰っている時に顔を出した古巣の合唱団が、僕の大好きな森山至貴先生の曲をやるということで、オンステすることにしました。
合唱団ピンクエコー 9th Concert
1月19日(日)
14時開場 14時30分開演
名古屋市中村文化小劇場ホール
入場料1000円
第四ステージの「沈黙のありか」にオンステします。
お楽しみに。
ではまたあした。