ぽろぽろこぼれる

888企劃主宰・馬原颯貴からぽろぽろこぼれる言葉を記録する。

世論。

ツイッターをぼーっと眺めているとみんないろんなことに文句を言いたいし共感したいし元気だなあって思う。それは世論なんだろうか。世論調査だけが世論ではないと思うけど。

 

先日発送した「三人ヨシコ」のDVDの感想が沢山流れていて嬉しい。頑張って作った舞台、頑張って編集したDVD。頑張ったものを楽しんでもらえると、楽しんでもらえるために次も頑張ろう、という気持ちになる。

「頑張る」という言葉は苦手なんだけど、それでも頑張ろうと思えることを頑張ろう。頑張るがゲシュタルト崩壊してるけど。まずは僕が楽しむところから。

 

小劇場界隈では契約やらノルマやら降板やらの話が後を絶たないけど、888企劃は契約書をきちんと発行、ノルマなし、過去作品の降板者なしでお送りしております。前の二つは、今後もずっと。三つ目は、今のところ。

 

契約書が必要なのは言わずもがな。お金のやり取りが絡みますから。

 

どんな舞台にしろ「僕が面白いと思ったもの」を役者に面白いと思ってもらうところから始まると思う。役者が面白いと思えば自然とチケットは売れていく。販売の意欲になる。と、言い聞かせている。

そもそもノルマありの舞台だと、仕事として請け負っているという感覚がなくなってしまうと思う。お金を払うのは勉強のため。お金をもらうのは仕事だから。運営上どうしょうもない時もあるけどね。それはそれで、出資者という立場で考えていきたい。

ノルマを達成したら、「勉強」が「仕事」にシフトする。一概に言えることじゃないけど、僕はそんな考えを持ってる。

 

割と毎回こんな話を役者には伝えているから、降板者がいないんだと思いたい。怪我とか病気とかは仕方ないけど。

「こんな舞台辞めたい!」って思わせる稽古や形態をしている舞台なら契約を交わさないべきだし、蓋を開けてみればーなんてこともあるから降板も発生する。やっぱりいい舞台をやることだな。うちみたいな優良劇団をやっていくためには(突然の自慢)。

 

ちなみに2、3ヶ月拘束して少量のバックを受け取って……というのはこの界隈じゃしかたないことなんです。どうにか変えていきたいけど。

うちの制作といつも「劇団四季みたいになりたい」と言っているんだけど、劇団四季ってのは月給制なんです。稽古にお金が支払われるんです。劇団四季システムと呼んでいます。

 

 

仮の話をしてみよう。

 

例えば役者を15人呼んで、1日8時間の拘束で二ヶ月を完全週休2日で稽古・本番やって、一ヶ月あたり20万の給料を払うとすると、600万円かかる。

劇場や稽古場代、フライヤーの印刷、スタッフのギャランティなど諸々の費用を適当に安く見積もって100万円(クソ安い)だとすると、合わせて700万円

 

(ちなみに「三人ヨシコ」の支出はぶっちゃけ大体180万でした。)

 

この700万円をチケット代だけで賄ってみよう。

10公演やって100人キャパだと、全部満席で1000席。700万をこれで割るとチケット代は7000円。うーん。高い。しかも満席想定。ひとりあたり66.6人呼ばなくてはならない。しかも全員が。しかも主宰へのペイはない(100万の経費に入ってないとする)

 

ここまで計算したけど三人ヨシコの場合で考え直してみよう。

さっきぶっちゃけちゃったので諸費用の支出は180万円。

さらにキャストは22人。二ヶ月分の給料として月20万、880万円。合計で1060万円の支出とする。

公演数は11公演。満席は80席だった。つまり

880席

1060万円を880席で賄うと、チケット代は12045.45……円

 

チケット代12000円で届かない。

 

なんて残酷なんだ……。

もう少し残酷(現実的)に考えると、普通は満席に対して80%くらいが損益分岐点になる。

704席が分岐点。そうするとチケット代は15000円だ。しかもひとりあたり32人呼ぶだけでいい。わー! かんたーん!

あの舞台を、15000円で公演すれば、役者に月給20万支払える。

(もしくは32枚ノルマで15000円……いや、もうやめよう。)

 

劇団四季システム」の意味がわかったと思う。劇団四季は、あの認知度で、あのクォリティで、あの値段で、ようやくこれが可能になる。可能になるだけである。

 

いかにこの劇場界隈が世知辛いかよくわかってきてやめなくなってくるからこれ以上は考えないけど、こんな簡単な四則演算で考えられるくらい単純に、この世界はできている。

 

なにが言いたいかっていうと、

僕たちは今後も5000円以内の舞台をやります。

また見に来てください。ってこと。(なのか?)

 

ではまたあした。

 

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