ぽろぽろこぼれる

888企劃主宰・馬原颯貴からぽろぽろこぼれる言葉を記録する。

悪夢。

悪夢が止まらない。

 

毎日毎晩悪夢を見る。

 

今日は帽子屋さんのお茶の会を演るのに何故か特大の劇場で、しかも僕の想定していない大掛かりなセット。というか遊園地みたいだった。

 

舞台裏までの導線はやたら長く、なにやらスタッフが角材を運んでいる。っていうか、邪魔だ。なんだこれ。

 

舞台に上がるにはメリーゴーランドに乗らなければならない。グルグル回っているとゆっくり停止して、気づいたら1000人ほどの観客が。

 

どうやらエンタメ芝居に紛れ込んでしまったらしい。

 

なんとか芝居を進めようとするも、まずテーブルがない。ジェットコースターの裏に回って「机どこ!」と聞くも、指し示されたのはバラバラになった廃材。僕の机になにしやがった。

 

とりあえず舞台に戻り台詞を言う。

 

「みなさんこんにちは」

 

観客は大爆笑。

 

「私は帽子屋です」

 

大爆笑。

 

「なぜ帽子屋かと申しますと……」

 

大爆笑。

 

 

……。こんなにウケるはずがない。

初めからわかっていた。

これは僕を嘲笑う「大爆笑」だ……。

 

またもジェットコースターの裏に戻り、マイクを見つける。

 

そのマイクで話す。これは僕の芝居じゃない。

 

別の舞台に迷い込んでしまったんだ。

 

チケット代はお返しします……と言うが早いか、スピーカーから大音量の車のエンジン音が。うるさい! 俺が話してんだろ!

 

すると怪しい魔女が現れ、「あんたの声が小さいからだよ! 窓も開けてるんだから騒音がするのは仕方がないだろう?」と言う。仕方ないもんか。

 

いきりたって窓を閉めると、魔女は「三密! 三密!」と叫びだす。

 

なにを言ってるんだ。ほらみろ、観客はもうみんな帰っちまっただろ!

 

そして夢から覚めつつ僕はこう言う。

 

「劇場代は払わねえぞ……」

 

 

 

……人間とは、こうやって寝言を言うのだ。

 

ベットで横たわっていた僕が夢だとわかってまた眠りにつくと、レム睡眠はまた悪戯を仕掛けに来る。

 

 

 

ふと気がつくと、誰かが看板に今日の日付を書いている。

 

「7月28日」

 

まてまて。28日はまだ先だ。今日じゃない。

 

「そうか、これは夢か!

 

だって今日は15日だもん!

 

 

…………目が覚めたら、まだ14日だった。

 

頼む。僕に安眠をくれ。

 

永遠にではない安らかな眠りを。

 

ではまたあした。