悲しいことが起きて、悲しいことが起きた日が来て、でも、僕には何も紡げる言葉がない。
2011年の3月11日は、名古屋にいて、友人とチャットをしていた。
東北や東京にいて、家族が被害にあったり、帰宅困難になったりしていない。近くて遠い出来事なのだ。
すこし募金をしたくらいで、何か深く考えたり、大きな行動をとったりは出来なかった。
3月3日、作家の別役実さんが肺炎で亡くなった。奇しくも《帽子屋のお茶の会》の上演申請を出版社に提出した日だった。
運命的な何かを感じたりはしない。ただの偶然だし、だからどうするということもない。
人は死ぬのだ。いつだって。
「亡くなった別役さんの思いを……」だとかなんとか、言うべきなのかもしれない。だが別役さんは僕のことなんか知らないし、僕だって別役さんをよく知っているわけじゃない。
何も考えられない。何かすべきなのかもしれないが、全てが上っ面に見えてくる。
その上っ面を取り除いた後には、ただの悲しみしかないのだ。その悲しみすら、もはや上っ面になってしまうのかもしれない。玉ねぎの皮は無限に剥ける。剥いた後には、何も残らない。無感情なのだ。
だから僕は演劇をする。
新型肺炎が蔓延しようが、震災の日だろうが、作家の命日だろうが、僕は僕のできることをやる。
訃報を聞かなくても言ったであろう言葉を、僕は発する。
別役実の《帽子屋のお茶の会》。
出演者募集中。
奮ってご応募ください。
ではまたあした。
本日の宣伝
888企劃プロデュース公演vol.2 「《不思議の国のアリスの》帽子屋のお茶の会」
別役実の名作不条理劇を888企劃スタイルでお届け。
言葉遊びとファンタジーの世界を共に作ってくれる出演者を募集します。
それに伴い、ワークショップオーディションを4月11日14時より都内施設にて行います。奮ってご応募ください。
チケット料金 3200円(予定)
劇場 アトリエファンファーレ東池袋
公演期間 7月1日〜5日
■募集
10代〜30代の俳優(性別問わず)
■応募資格
・芝居を学んだことのある方。
・協調性をもって稽古に取り組める方。
※ 事務所所属がある方は許可を取っておいてください。
※ チケットノルマなし、1枚目からチケットバックあり。
※ チケット販売30枚以上で追加手当て有り。
※ 稽古は5月中旬より始まります。
■応募方法 【締切】 4月10日(金)
件名を「帽子屋のお茶の会 出演希望」とし、下記必要事項を添えて、
hachimitsuproject@gmail.comまでお送りください。
1、お名前
2、生年月日
3、メールアドレス
4、電話番号
5、お住まいの地域 (例、練馬区、中野区など)
6、所属があれば所属団体名もしくは事務所名
7、アピールポイント
8、宣材写真 (お持ちでなければ携帯電話等で撮影したものでも結構です)
■問い合わせ
Mail hachimitsuproject@gmail.com
Web http://888project.wix.com/888project
追伸
このブログを書き終えてから不意に頭に流れた詩があるので引用。
忘れたいことがあり
忘れたくないことがあり
判りたいことがあり
判りたくないことがあり……
でも しかし……
だが しかし……
そんなことどもは まるで
どうでもいいようなふうに
ごうごうと 地球はまわり続け
あらゆる生き物の鼓動をのせて
ごうごうと 地球はまわり続け…
工藤直子「はじまり」より抜粋引用